17型 海軍夜行秒時計 3

ジャンク品を購入し分解掃除の上注油調整後稼働品。

ヤフオクに懐中時計のクロノグラフは頻繁に出品されているが、稼働品だと5万円前後、ジャンクでも2~3万円とかなり高価。

その稼働品でさえも、「動く」とだけあり時間があっているか?時計としての生命線である時間が狂うことなく使えるか?は

説明では分からない。OH済と記載のこのモデルは10万円前後の価格がしますし、店舗で買えば15万円くらいします。

さて、25000円で落札して届いてみると、かなりきれいな個体こりゃいけるかもと思いテンプを外すと天真は折れてない。

続けてコハゼ解放しアンクル外して見るとアンクルの爪に今まで見たことないくらいの埃が付いておりガンギにも同じように

埃がついている。クロノグラフがいかに戦争で使われたといっても戦後78年一度も分解掃除されてないとは考えられないので

使っていた??そしてアンクルに埃が入った?後に分かるが、不動の理由の1番はガンギの汚れ、固着です。そのために輪列が

回らずに不動に。それとゼンマイもお尻の部分が香箱の中で折れていて最後まで巻けずにトルクが足りませんでした。

精工舎カラフはエキストラフラットと時計部分の部品が同じなので香箱、ゼンマイが同じです。ゼンマイの予備もあったので

交換し、全部の部品をベンジンで手掃除して、穴石のルビーも割れがなく、おそらく時計部分は動くと予想しました。

案の定時計部分は問題なく、後はクロノ部分を組み立ててストップウォッチの開始、停止、帰零もOK。秒針と積算針の袴も

割れておらず今回は大丈夫でした。クロノを動かしても日差1分以内で稼働しており良いものを手に入れました。2022.08.29


17型 海軍夜行秒時計 2

ジャンク品を購入後分解掃除に挑戦 無事稼働品となる

ヤフオクに精工舎カラフ17石のジャンク品が出展されていました。完全ジャンクという事で16500円でしたがクロノグラフの分解掃除の練習のために購入しました。とりあえず手に触って竜頭を巻くと幾らでも巻けます。「こりゃゼンマイ切れだ」と思いました。この場合、ゼンマイを変えると直る可能性が高いです。一番多いジャンク品のパターンはゼンマイを巻き切ったままで止まっています。それは油切れやごみ詰まりが原因で動かなくなるが、それでも人はゼンマイを巻いて何とか動かそうとする。ジャンク品はこうしてゼンマイを巻き切ったままのものが多いのです。このカラフのジャンク理由はゼンマイ切れが1つの原因と分かり、写真をたくさん撮りながら分解してゆくことにしました。カラフは戦後出た精工舎エクストラフラットと機械が同じです。日の裏も同じ機構で部品も共通です。このキャリアアーム式のクロノは竜頭部にあるボタンを押すことによりオペレーティングレバーが動き、コラムホイルを回してトランスミッションホイルを動かして出車になっている4番から繋がっている歯車を2番の秒針に伝達します。

もう一度押すとトランスミッションホイルが2番から外れてストップウォッチが止まります。そしてもう一度押すとリセットハンマーが積算針と2番の秒針のハートカムを叩き0リセットされるわけです。正直言ってこの個体はかなり最近に分解掃除されております。正しく注油された油がまだ各所に残っていましたので。しかしゼンマイが切れてジャンクになったのでしょう。クロノグラフはゼンマイの入っている香箱を出すにはクロノ機構を全部ばらす必要があります。これは大変面倒くさいのでゼンマイが切れた時点で諦めたのでしょう。今回分解掃除中にも部品の大きな破損がないことを確認して組付けました。組付けはそれほど難しくないです。

部品さえあれば、修理や分解掃除も可能でしょう。テンプの文字盤上での挙動がややおかしいですが順調に稼働しております。

大事にしていきたいと思います 2021.09.03


17型 海軍夜行秒時計

OH済商品を購入し絶好調に稼働中

実は懐中時計のクロノグラフは避けていました。腕時計のクロノグラフは2本持っていますが実際にストップウォッチ機能を

使う機会がなく、しかも壊れやすくOHもやりにくいといいところがないのがクロノグラフ。ただ、機械を見ていたらかっこいいと

言うだけで所有するのはどうか?と思ったのですが、やはり精工舎の懐中時計を集めるのに避けては通れない道で、ようやく良品が

安く手に入ったので購入しました。精工舎カラフ(クロノグラフ)は一般製品として販売実績がなくカタログもありません。

それまで舶来一辺倒だったクロノグラフを帝国海軍が使う事により始まったと思われます。当初は輸入していたのですが、戦争が

始まり舶来品の経路が絶たれると軍部は精工舎にクロノグラフを依頼しました。経験のない精工舎はロンジンのクロノグラフを

購入しコピーしたと言われています。そうして昭和16年真珠湾攻撃の年にようやく完成。当初は17石の精度の良いものでしたが

やがて戦火が悪化、部品も枯渇し最終的には7石の粗悪品となったらしいです。

そんな本時計は初期仕様の中蓋付ニッケルケース。もちろん17石と言うことで精度は良いです。姿勢差もなくクロノグラフを

動かしても快調に動いています。ちなみに戦後はクロノグラフは作られずに残りの部品で精工舎エクストラフラットを作ったようです。なので2つには時計部分に共通部品がたくさんあります。精工舎の懐中時計を語るには避けては通れない唯一の懐中時計カラフ

ようやく完全動品が手に入ってよかったです。2021.01.14