精工舎はそれまでにも懐中時計を販売していました。高級機である「タイムキーパー」は輸入シリンダー脱進機の供給途絶 が

時間の問題になり「タイムキーパー」にかわる一般向けのアンクル脱進機懐中時計の量産が課題となっていました。

そこで、精工舎がそれまでの懐中時計生産技術の改良成果をムーブメント部品すべて自社加工の新製品として世に示したのが、

「エンパイヤ」です。

エンパイヤは、その目的通り大衆機としてその後十数年間に渡って良く売れました。

エンパイヤには大きく分けて5種類あります。

 

 ①  EMPIRE     1909(明治42)年に発売された16型、アンクル式7石

 ②  PUBLIC     1911(明治44)年に発売された16型 アンクル式かざり受石入、かざり無し

 ③  GREAT EMPIRE 1911(明治44)年に発売された16型 アンクル式16石

 ④  新EMPIRE    1921(大正11)年に発売された16型 アンクル式7石、10石、15石

 ⑤  9年式EMPIRE  1934(昭和09)年に発売された16型 アンクル式7石、10石、15石

 

この中で3番のGREAT EMPIREはPUBLICの高級版、いや全EMPIREの中でも最高級仕様です。なかなか手に入れることが出来ません。

  ・当時の精工舎の紳士用懐中時計の品質水準を上げた時計で、とても数が少ないため幻の懐中時計と呼ばれる

   「グレートエンパイヤ」です。過去の研究資料では、上記パブリックと混同したのか、平ヒゲであるとか文字板に

   「GREAT EMPIRE」と 書かれたものは少ない等と書かれていますが、正式なグレートエンパイヤとは、

   以下の全てを満たすことが条件であるようです。

 

    ・文字板には「GREAT EMPIRE」と表記

    ・16石、巻き上げヒゲ、切テンプ

    ・角穴、丸穴車が磨き仕上げされ歯先はクラウニング加工

    ・受けにダマスキン模様入り                    

                     上記情報は親愛なる時計HPである「TIMEKEEPER 古時計どっとコム様」より

  

 ①は比較的多くヤフオク等に出ています。ジャンク品で3000円前後、稼働品で1万円前後です。

 ②はほとんど出てきませんが金額は①と同じです。この懐中時計はPUBLICという別の懐中時計ですが、なぜかEMPIREの

  文字盤が取り付けて売っています。なので機械は全く別です。実際のPUBLICの文字盤のPUBLICは超レアです。

 ③はさらに少なく銀無垢ケースで5~8万円、金無垢ケースで20~30万円です。

 ④はよく見ますが金額は①とほぼ同じです。15石はジャンクでもかなり高いです。

 ⑤は殆どみませんが、15石で稼働品なら2万円が上限だと思います。機械はZELMAやMINISTERと同じです。