振り座の異常(固定不備)

ジャンク購入の精工舎の新EMPIRE10石ですが、元々ネジ式のケースが欲しくて購入したので良いのですがテンプをばらすと

地板側のホゾ部分が削られている。ただならぬ嫌な予感を感じテンプの振り石を見てみるとグラグラ。振り座を外すと接着剤の跡

昭和の時計師が苦労して付けたのでしょうが、おそらく天真が違うものを付けているのだと思います。外の天真が折れたものから

振り座を取ってもやはりグラグラなのでEMPIRE用の天真ではないと思います。最終的に部品取りとなってしまいました。

2021.01.21


テンプ不良によるヒゲゼンマイ交換

今回はテンプ不良によるテンプ台とヒゲゼンマイの交換です。今まで調子よかった懐中時計が急に不安定になり、特に文字盤上の状態で不安定になる場合はテンプの上の石が原因であることが多いです。さっそくばらして拡大鏡でみると、やはり石が欠けていました。何十年も動かなかった時計を急に動かしたからか、元々脆くなっていた部分が欠けたのでしょう。写真のように天真は無事なので地板に付けて振りをチェックします。この時点でちゃんと回らなければダメです。テンプをばらしてヒゲゼンマイをマイナスドライバーでこじて外して付け替えます。外すのは簡単ですが付けるのはポンス台が必要です。写真のように天真を傷めないようなタガネを選んで取り付けて終了です。2020.11.26


これは天輪にヒゼゲンマイをポンスで打ち込んでいるところです。ポンス台と確かな腕があると天真交換も可能です。

一番難しいのはテンワから天真を抜くことです。カシメてあるのでそれを取って天真を抜きます。その時にテンプの腕が歪みます。

上手な手加減でフリ座とヒゼゲンマイを外して天真を抜き取り、次はその逆です。これが出来れば修理の幅が広がるでしょう!


テンプの分解掃除です。

このような簡単な造りのテンプは必ずバラして掃除します。

特にEMPIREも新方になるとヒゲ玉をネジで外せるので、

本当に楽になりました(旧EMPIREとPUBLICは固定式)

 

①緩急計の小ねじ2本を外して石を掃除する。この部分は時計の中でも

 一番回転数の多いテンプ天真のほぞ石なので十分に掃除する。

 

②ガンギの振り石の入る部分と振り石がスクエアーに入るように

 ヒゲを回転させて調整する。

 

③ヒゲがくっついていないかチェック。くっついているとほぼ途轍も

 なく進む時計になる。磁力撤去&ベンジン洗浄を行う。

 ヒゲは油が少しでも着いた状態だと間違えなく正常に振らない。

 

以上です。 2020.06.26


スワン型緩急計のテンプは長期間放置してあったものは、

微調整のスワン部分のネジが固着している事が多いです。

その場合、全部バラしてネジの部分に注油してやる必要があります。と同時にテンプ台の穴石とカブセの石もきれいに掃除。

この状態でヒゲゼンマイの調整をすると後が楽なので、出来る限りきれいな円になるように修正します。

 

2020.0906