分解掃除

まず正面から時計を見て「直れ!直れ!と念じます。」そしてまずテンプは外しておきます。この時ヒゲゼンマイが絡まらないように慎重に外します(写真のテンプは天輪が外れていますが実際はヒゲゼンマイで繋がっています。

その時にガンギまでゼンマイパワーが来ているかチェックします。(アンクルを揺らすとガンギが動くか?)

そして、コハゼを解除して(回して)竜頭を摘まみながら慎重にゼンマイを開放します。

この後にオシドリネジを緩めて竜頭を外し、ムーブメント押さえのネジを外してムーブメント取り出します。


慎重に針を外します。文字盤を傷つけないように!!次に文字盤を止めているネジを緩めて文字盤を取ります。

文字盤を上向きにして外さないと筒車が外れて落ちてくるので注意です。

次に筒車と筒カナを同時に外します。ここで筒カナが付いたままだと2番の歯車が外れませんので。



また裏向けて次は慎重に慎重にアンクル受けとアンクルを外します。

この時点で一応2番を動かしてガンギが回るかチェックします。回らないとここからは慎重にバラス必要があります。

回って普通です。角穴車を外します。そして丸穴車も外します。


輪列受けのネジを外します。この時どこのネジがどこ長さかチェックです。

香箱受けと輪列受けをパックリと外します。この時も歯車を傷つけないように注意です。

そして順番に歯車を外します。この時に筒カナが付いたままだと2番が外れません。

次にまたもや裏向けて、裏押さえを外します。カンヌキバネを飛ばさないように慎重に!!ここでは既にオシドリが外れています。

 


日の裏車、小鉄車、カンヌキ、カンヌキバネを外します。ここでテンプの裏の石受けも外しておきます。

後は、デジタルスコープで石の汚れを確認しておきます。私は、香箱を開けて汚れている場合はベンジンで洗います。

汚れてない場合は油を付けて一気に蓋を閉めます。そして四つ割りでしっかりゼンマイが巻けるか確認します。

ここから全ての部品をベンジンで洗います。懐中時計は部品が脆いので絶対に超音波洗浄しません。

超音波洗浄の後、石が取れたり部品が外れたりするからです。

この時点でテンプをまた付けて、アガキを見ておきます。通常であればしっかりと回るはずです。

ちゃんと洗浄すれば穴石も、この通りきれいになるはずです。


香箱を置いて、ガンギ、4番、3番、2番としっかり置いて香箱受けと輪列受けを置きます。この時に一気にネジを締めずに

しっかりとホゾが通っているか確認してから締める事。香箱を回してザラ回し、ガンギがしっかりと軽く回るか確認です。

ここでガンギが軽く回らないと絶対に時計は動きません。自動オイラーで油貯めに注油します。

ここで輪列受けのネジをしっかりと締めてからようやく筒カナをはめます。そうでないと筒カナはめれません。

EMPIREの場合はここで筒車をキチ車を入れて竜頭を指します。時計によっては香箱受けを取り付ける前に入れないとダメな

やつもありますがEMPIREはこの順番で大丈夫です。最後にオシドリネジを締めてオシドリで竜頭を止めます。


筒車の溝(カンヌキとの接合部)、キチ車との接合部等に注油です。

小鉄車、日の裏車の軸にも注油しながら取り付けます。ここまで来るとまた逆向けてもう一をザラ回しし、OKならアンクルを

取り付けます。この際もアンクル芯がちゃんと受け石に入っているか確認してネジを締めてください。

この状態でやっとゼンマイが巻けます。ゼンマイを巻いてアンクルのシッポを振ってガンギが動くかチェックしOKなら、

アンクルの刃に注油します。最後に緊張の瞬間です!!テンプをゆっくり乗せると動き出し成功となる訳です。

実際は正常稼働の時計は分解掃除したらほぼ快調にテンプ振りますが、ジャンク品は4割程度しか振りません。

それは不動だった原因が機械の汚れやテンプの異常ではなく、どこかの石の不具合が、歯車のアガキが、テンプのアガキが、

そういったところが悪いのでなかなか動きません。そこを調べてもしも何十年の時を越えて動き出せば、それは嬉しいものです。